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波の音が聞こえる場所で
第6章 救世主現る
「ありがとうごじました」
 僕は山水旅館の御主人に深く頭を下げて礼を言った。
 パンダ焼きをリュックの中に入れていざ出発。出発から五分後、パンダ焼きをリュックから取り出して食す。経済的な余裕がないと何故が直ぐに腹が減る。 
 愛くるしい真っ白なパンダを見ると、本当にこれを食べていいものなのかと迷ってしまった。でも実際に食べたときはそういうためらいなんて全く感じなくて、ただただ美味しくて、だからあと十個くらいはいけるぞみたいな超絶美味い銘菓だった。
 まぁ僕がパンダ焼きを食べたところで、日本と中国の間に血なまぐさい紛争など起こるはずはない……多分。
 ちなみに食べたときの僕の第一声。
「まじうめー!」
 だった。
 弥彦でしか手に入らない郷土菓子のお供はペットボトルのお茶。できることならどこかの家の縁側に座ってゆくり甘未を楽しみたいところだが、そういうわけにはいかない。
 僕は山水旅館の御主人が広告紙の裏に書いてくれた寺泊の魚市場までの地図を手にして進むべき道をひたすら歩く。取り合えず僕の冒険の先には魚市場がある。働かなければ食えない。食えないということは、生命活動の終了を意味している。だから何が何でも魚市場に僕は行く。
 目的地までほぼ一本道の地図。だがこの一本道とにかく長い。山水館の御主人によると、この一本道だいたい十㎞はあるとのこと。そして僕はあることに気付いた。歩いているのはどうやら僕だけのようだ。
 道路を行き来しているのは車だけ。辺りを見回しても人がいない。歩行者がいないという現実に僕は驚いた。新潟県民は歩かないのだろうか。歩いてはいけないという条例でもあるのだろうか。
 一時間くらい歩いたところで道の駅発見。休憩やそこで売られている物産品を買い求めに来た人たちの車が、駐車場にたくさんとまっていた。よく見ると道の駅にはレストランがあるようで、僕はまた第一食堂のカツ丼を想像してしまった。やばい、ここで想像すべきは逃走先での生活だ。生活無くしてカツ丼無し。
 道の駅を通り過ぎて僕は逃走先(断っておく僕は指名手配されていない)を想像した。黒いゴムの前掛けをした自分。頭には手拭いで作った鉢巻。
「いらっしゃい、いらっしゃい」という体育会顔負けの呼び込みの声。魚屋でバイトするなんて初めてだが、やってやれないことはない。やらなければ生きていけない。
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