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波の音が聞こえる場所で
第7章 誠に遺憾ではあるが、ここから冒険を始めることにする。
「坂口、掃除のバイトどこかでしてた?」
 福さんは僕にそう問いかけた。
 僕は塾でのバイトだけでなく、スポーツジムでも受け付けのバイトをしていて、そこでは受付だけでなくたっぷり雑用もさせられた。もちろんジムの掃除も僕の仕事でもあった。取り合えず掃除のスキルはそこで身に着けた。
「家の掃除をするくらいです」
 僕は嘘を言った。
「へぇ~」
 感心してくれたのか、それとも僕の嘘を見抜いたのか福さんはそう言った。
 掃除が終わり、僕ら灯台メンバーは事務室のソファに腰かけた。テーブルを境にして向こう側に福さんと森村が一人掛けの椅子に、僕といっちゃんは長椅子に並んで腰かけた。
 いっちゃんが変な気を使ったせいで僕の正面は森村だ。
 スチール机の椅子から久須美が立ち上がった。
「いよいよクリスマスシーズン到来です。お客さんもたくさん見えられます。たくさん来るということはたくさん売り上げるチャンスが来るということでもあります」
 久須美の一言一言に突っ込みたくなるのを僕はなんとか我慢した。久須美は続ける。
「そこで年末売り上げ倍増作戦をこれから練っていきたいと思います。諸君、よろしいかな?」
 いちいち久須美の言い方が気に障る。
「坂口、返事は?」
「はい」
 当分の間、僕は福さんに逆らうことができない。
「衣料品は社長と玲奈ちゃんのお蔭で売り上げは順調です。まぁ年末もこのままいくでしょう。そして家電と雑貨も売り上げに陰り無しです。手前味噌ですが、すべては私のお蔭ですな、ははは」
 まじでイラつくおっさんだ。
「でもね、売れないのよ、本とレコードがさ。売れないなんてもんじゃないのよ、全然だめなのよ。どうするの坂口君?」
「……」
 どうするの? って言われても僕には関係ないことだ。
「坂口、返事しろ!」
 またまた福さん。僕は福さんに言いたい、ここは軍隊ではないと。
「あの、どうするのと言われましても、僕にはどうすることもできませんが」
「坂口君、寝ぼけてもらっちゃ困るよ。本とレコードコーナーは坂口君の担当なんだよ」
「はぁ? 担当って……いつからですか?」
「坂口君、長旅の疲れがまだ取れないようだね。坂口君、おめでとう。今日からリサイクルショップLighthouseの本とレコードコーナーの主任に就任したんだよ。はいパチパチ」
 そう言ってみんなに拍手を促す久須美。
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