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波の音が聞こえる場所で
第7章 誠に遺憾ではあるが、ここから冒険を始めることにする。
「坂口、お年玉のことなんか心配しなくていいから。坂口にはお年玉なんて一億年早いわ」
 と社長こと福さんが冷たく僕にそう言い放った。
「いやわかんないよ。本とレコードの売り上げ次第では、坂口君にもチャンスがあるよ」
 僕はそのチャンスを放棄したかった。どうせ大したことのないお年玉に決まっている。そんなものに縛らる自分が嫌で……だがお年玉の金額が気になる。
「経営学部なんだからさ、坂口にも何か考えがあるでしょ」
「本を売る勉強を僕はしていません。もちろん僕はレコードもCDも売ったことがありません」
「やっぱバカじゃん」
「はぁ?」
 福さんが言う「坂口」は受け止められる。しかし、僕の目の前にいるクソ女の「坂口」「バカ」だけは受け入れられない。
「坂口君、一旦落ち着こう。君はここでは新参者なんだ。玲奈ちゃんは君の先輩だ」
「……」
 新参者という言葉に僕は引っかかった。多分、ここリサイクルショップ灯台で東野圭吾先生の作品である「新参者」を売っているのではないだろうか。
 河口の端の少し高いところにあるリサイクルショップで東野先生の作品を売っていいものだろうか。僕は祈った。東野先生、絶対にここに来ちゃだめですよ!と強く強く祈った。
「坂口君、何かいい提案ないの?」
「あります」
「さすが経営学部」
「簡単です。古本とレコードなんて売るのをやめるんです。空いたスペースで売れているという家電と衣料品を置く。間違いなく売り上げは微増するはずです」
「……」
 店長の久須美が変な顔をして僕を見た。だからというわけではないが、僕は続けた。
「スクラップアンドビルド。売れないものなんかどこかにやって、空いたスペースには売れ筋の家電と衣料品を置いて販売をする。いつまでも売れないものに未練を残していてはだめです。効率重視の経営です」
 堂々と僕は言った。
「坂口君意外とつまらない男なんだね」
 久須美はそう言うと呆れた目で僕を見た。
「はぁ?」
 どうして僕がつまらない男になるんだ。僕はこの店のために思うことを言ったまでだ。本やレコードを河口の端のちょっと高いところにへばりついているような店に誰が買いに来るんだ。来る奴なんかいない!いないから売れないんだ!以上!
「坂口君、宿題ね。明日の朝、本とレコードの売り上げ倍増計画発表してもらうから」
 諦めが肝心だと僕は久須美に伝えたい。
 
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