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波の音が聞こえる場所で
第8章 取り調べと化した久須美の面接についての一部始終
「つまりこういうことだよね。冒険の先は南ではなく北でなければならない。これは坂口君が引くに引けないところなわけだ。で上越新幹線に乗った。海辺の街を探して朱雀山城駅に降りたんだよね。降りたら死を感じるくらいの寒さに怯えてコンビニに駆け込んだ。そこで弥彦温泉を教えてもらってJR弥彦線に乗って弥彦までやって来た。温泉に入り、それから僕に拾われたんだね?」
「間違いありません」
 この答え方、僕は被疑者?
「坂口君さ、大学受験で地理とか勉強しなかった?」
「しませんでした」
「海を目指すならさ、朱雀山城で降りちゃダメなのよ。終点新潟まで行けば、少し遠いけど海には歩いて行けるの。それに新潟市って海辺の街だよ」
「それについては大誤算でした」
「大誤算じゃ済まないよ。だって坂口君、僕に拾われなかったら死んでたよ」
「多分」
「それから坂口君、海辺の街に何を期待してるの?」
「……期待?」
「そう、期待」
「……」
 口が裂けても居酒屋と四十代の女将さんのことは言えない。
「言えないこと?」
 久須美がじろりと僕の目の奥の様子を探る。まさにベテラン刑事。
「人間はそこから始まったからです」
 確か海って人類の母なんだよな。誰かがそんなことを言っていたような気がするんだが。
「海辺の街から?」
「海からです。だから僕の冒険も北国の海辺の街だと心に決めました」
「九十九%理解できないけど、まぁいいや」
「……」
 いいやというなら訊かないでくれ。
「ひょっとしたらこれ?」
 久須美はそう言って右手の小指を立てた。
「違います」
 迷いのある否定。
「まぁいいや」
「……」
 だからよかったら訊くなよ。
 それから僕は自分についての簡単な経歴みたいなものを話した。小学校をいつ卒業したのかさえも直ぐに出てこない。まぁ体育だけは小学校から高校まで五段階の評定でいつも五だったことは直ぐに答えられるし、唯一自慢できるものがあるとすれば体育が得意だと言うことだけだ。
「リサイクルショップって体力がないとダメなんだよね。その点坂口君合格です。でね、坂口君さ、最後に一つだけ訊きたいことがあるのよ」
「何ですか?」
「君大学生だよね?」
「はい」
「現役のR大生だよね?」
「はい」
「君大学どうすんの? それと君の御両親は坂口君の冒険のこと知ってる?」
「……」
 ついに来たかという感じ。
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