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檻の中の花嫁
第2章 五人兄弟

澪は静寂に包まれた部屋の隅で、肩を震わせながら膝を抱えていた。

湯浴みの後も、身体の火照りは消えず、むしろ不安が胸の奥を蝕んでいた。

――ギィィ…

唐突に襖が音を立てて開く。
澪は驚き、反射的に身を縮めた。

そこには、五人の男たちが並んで立っていた。

全員が浴衣を羽織っていたが、前は帯で結んでおらず、はだけた胸元からは鍛え上げられた筋肉質の肉体が覗いている。

全員が白いふんどしを締め、堂々と股を広げ、腕を組みながら澪を見下ろしていた。

ぞくりと、背筋が凍る。彼らは無言のまま、畳の上を踏みしめ、ゆっくりと室内へと入ってきた。

五つの視線が一斉に澪に向けられる。

澪は思わず後ずさる。
その足が、畳をかすかに擦る音すらも恐ろしかった。

そして、先頭に立つ男――長男の壱成が口を開く。

「お前が今日から、この家の花嫁候補か」

冷ややかな声だった。

まるで感情を押し殺したような、氷のような声音。

「は、花嫁…?」

澪の声は震えた。
壱成は無表情のまま、続ける。

「お前の役目は一つ。俺たち五人のうち、誰かの子を宿し、正式な花嫁となること」

その言葉の意味を理解した瞬間、澪の頭が真っ白になった。

彼の声はどこか遠くから聞こえるようで、現実のものとは思えなかった。

「そ…んな…?」

先ほど、老婆から同じ説明を受けたとは言え、やはり受け入れがたいし、信じられない。 

唇が震える。

この言葉はきっと何かの冗談だ。
そんなこと、あるはずがない。

「お前がこの中の誰かの子を孕むまで、俺たちはお前を抱き続ける。いいな?」

と次男の京ニがニヤリと笑う。

あの老婆が言っていたことが、本当だと知り、あまりの恐ろしさに絶望し、言葉を失った。 

身体が恐怖で震える。

しかし、壱成は容赦なく言葉を続ける。

「これはこの家の掟だ。お前に拒否権はない」

澪は一歩、二歩と後ずさった。

目の前の男たちが、知らない世界の人間に思えた。
まるで、異形の怪物たちが自分を喰らおうとするかのような錯覚を覚える。

「そんなこと…!」
澪はかぶりを振り、必死に抗う。

「私が…そんな…イヤです…。」

足が震える。

涙が滲む。
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