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正義と道徳のアクメ
第2章 生まれて初めて女性器に口をつけた!
「んぅっ…!」
 そっと陰毛を掻き分けただけで昨晩の痛みが蘇るが、それがかえって指先の食欲をそそった。そのまま道なりにぬかるんだ淫肉に滑り込ませ、
「あっ…やっ…ん…い…いいっ…」
列車の走行音に合わせてすかさず上下に往復させる。
 行為に気づいて学が目を覚ましてくれたらいいのに…という苛立ちは、空いた方の手にブラウスのボタンを外させ、ブラジャーの隙間から固く膨らむ突起をつまませた。
「う…!んぁうんっ…あぁぁっ…」
 期待も背徳感も車窓の風景と一緒に背後へと流れてゆき、啓子は取り憑かれたように自慰行為へと没頭してゆく。ゴォーーーーっ…と電車がトンネルに吸い込まれると、乱反射する轟音に紛れて啓子は、
「あぁぁっ…!うっ…くぅっ!いいっ…き、気持ちいいっ…」
手の内にある全ての性感帯を激しく的確に掻きむしった。
「イ…イクぅっ…!イクイクイクっ…学さんっ、イクぅぅっ!」
 電車がトンネルから開放される直前に軽く絶頂を果たし、ボックスシートへ背をグッタリとへばらせた。だが、学は変わらず口の端から無邪気にヨダレを垂らして眠りこけていた。
(私…経験してからイキやすくなってる…かも…)


 終点で下車すると、ふたりは道中に話し合った通りターミナル駅構内のATMで有り金を引き出し、限度額までキャッシングをすると財布をカードごとゴミ箱へぶち込んだ。
「三百万とちょっと、か。これが俺たちがずっとこの社会で堪えて生きてきた値打ちだと思うとやるせなくなるな」
「でも、ちょっと怖くなってきちゃった…失踪しちゃっただなんて…」
 不安にしぼむ啓子に学は顔を寄せ、毛先がなびくほどの声で言った。
「毎年、家出人や失踪者は十万人近く出てる。警察に届けられた人数でそれだけだ。心配することない。俺たちのことなんか誰も追って来ねぇよ…」
むしろ、自分自身を落ち着かせるかのように。
「とりあえず、泊まるところ探さない?」
「そうだな、カネを節約しつつだな」
「いざとなったら私、路上に立っておカネ稼ぐから」
「そ、そんなことさせるか…痛てっ!」
 何者かに背中を突き飛ばされた学が振り向くと、ボストンバッグ二つをまとめて背に抱えるスーツ姿の大柄な男と、肩口に寄り添って男のスマホを覗き込むスカートスーツ姿の女が謝りもせず通りすぎていった。
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