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正義と道徳のアクメ
第2章 生まれて初めて女性器に口をつけた!
「重大犯罪を犯して自決した男の家族…っていう死ぬより辛い目に遭わせてやるつもりだ…それに、殺しちまえば狂った息子に殺された悲運の親…とか美談にされる恐れがあるしな」
「あ、うぁぁんっ…!」
 歪み切った美学に啓子はたまらずスカートをまくり上げ、揃えた指でストッキングの上から柔肉をこね回した。
「おいっ…出てきたぞ!オナニーやめろ」
 男女はベッタリと腕を組んで千鳥足で割烹居酒屋から出てくると、
「使えねーガキだな!あの腐れハゲがっ…」
「だったら、いつかシメちゃえばぁ?」
「カハハっ、そうだな…ワンワン泣かせて土下座させてやっか!」
「ついでに教育長の椅子も乗っ取っちゃいなよ!」
他の教員たちの悪口を撒き散らしながら大通りをこちら側へ渡ってきた。
 学は欲に溺れかけている啓子の手を引き、コインパーキング脇の電柱の陰へ身を隠した。
「ふたりとも違う結婚指輪してるけど…ダブル不倫かな?」
「かもな」
「あっ、もしかして代行車使って帰っちゃうんじゃない?」
「いや、あんな道徳の欠片もない奴らのことだ。代行車なんて無駄金使わずに酔ったまま運転しに戻ってくる筈だ…」
 案の定、男は吸っていた紙タバコを歩道に捨ててコインパーキングの敷地内に入り、リモコンキーでミニバンのドアをピっと解錠した。啓子は助手席側に回る女の後を追いながらその吸い殻を拾う。
 そして、男が運転席のドアに手をかけたその時、
「そんだけ酔っ払ってんのに代行車使わないんだな」
「なん………?ンガぁぁぁっ!」
聞き慣れぬ声に肩を強張らせるや否や、糸の切れた人形のようにその場に倒れた。
「ひっ…な、何っ…?嫌ぁぁっ…!」
 異常に気づいた女が助手席のドアの前から逃走しかけるが、
「ウゴぁっ…!」
有無を言わさず学が首元へ電撃を喰らわすと大股を開いて仰向けに転倒した。
 啓子はミニバンの陰から飛び出すと、
「凄ぉいっ!」
男女の荷物を漁る学の背中へ抱きついた。
「見ろよ!ざっと三十万はある…これで数日は暮らせるぜ」
「ねぇ、この人たちって死んでるの…?」
 学はピタリと動きを止め、この晩の月のように爛々と光を湛えた眼で振り向いた。
「こ、こんな奴ら…殺したっていいんだ。バカはバカを増やす…だから、こうやってバカを駆除するのは正義だって思わないか?」
「でも…」
「いいんだよっ!」
「あ…ちょっ!やぁぁんっ…」
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