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正義と道徳のアクメ
第4章 少女の分泌液の甘さは望まぬ挿入の苦しみをいくぶん慰めた!
 夜空が青く色づきはじめた午前五時ごろのこと。
 海岸線沿いの県道から路地二本分ほど陸寄りのスナック街の一角で、啓子はひとり潮風に吹きつけられていた。
 風になびく自身のシルエットが閉店後のスナックのドアへ映るのを眺めていると、この港町の一部になれたようで何だか誇らしく、啓子の顔は昇る朝日のようにほころんだ。また、こうして頬を殴りつける潮風が新しい出会いを連れて来るような予感を匂わせてくれていた。
「はぁっ…」
 季節外れながら、かすかに白くなって空へ上る吐息にさらに顔がほころぶ。
 この港町には昨晩遅くに最終電車で着いた。盆地育ちの啓子が「海が見たい」と言ったところ、学が調べて連れてきてくれたのだ。
「わっ!」
 ひときわ強い突風で目に砂が入り、それを指で擦りながらも気分は高揚してゆく。
 このスナック街の一角は、夜中になると多くの立ちんぼが並ぶことで有名な場所だった。昨晩、学が寝入っている間に北島カレンから奪ったスマホでそのことを知り、寝つけぬついでにフラリと散歩に出ていたのだ。
(家出した後にこの場所に立ったとしても、学さんと出会えたかなぁ?)
 そんなことを思いながら何気なく風を背に歩き出したところ、
「キャっ!」
十字路からこちらへ向かう人影に気づかず派手にぶつかってしまう。


「はっ…!」
 ラブホテルのベッドの上で寝返りを打った学は、隣にある筈の女体の手応えの無さに飛び起きた。
 バスルームやトイレなど部屋じゅうを探すがどこにも啓子はおらず、服も靴も荷物ごと居なくなっていた。ただ、ジーーーと鳴る古い空調の音が長い列になって耳に入り込んでくるのみだった。
 学は膝から下を失ったようにフラフラとよろめくと、
「ウォォォォォォっ…!ウワァァァァァァァっ………!!!」
両手両足を振り回してテーブルや充電中のスタンガンをなぎ倒した。喉の奥からどうしようもない心細さが込み上げてくる。
 昨晩、数回セックスをしてから寝たが、夢の中でも啓子とまぐわっていた学は彼女の不在に絶望的な孤独の底へ突き落とされた。
 北島カレンから奪ったスマホを確認すると、この港町の立ちんぼエリアについて調べた履歴が残されていた。
「行動しろ…!誰も助けちゃくれない…元々はひとりだったんだ…考えて行動するんだっ!それしかないだろぉ…?」
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