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正義と道徳のアクメ
第4章 少女の分泌液の甘さは望まぬ挿入の苦しみをいくぶん慰めた!
 死の香りさえする少女の叫びに、啓子は唐突に出会った夜に学と交わした言葉を思い起こした。

『俺も、死のうとしてたんだ…』
『誰でもいいから最後にセックスをしてみたい…と思って…』
『ところで、死ぬのしばらくやめてみません?』
 どうせなら学さんと死にたかった…学さんに殺されたかった…。
 私が先に死んだら学さんはどう思うだろう…?しかも、こんな死に方…

「啓子さん!」
 やけに生々しい学の声を聞いた啓子は、
「学さんっ…?」
咄嗟に叫び返した。つもりだったが、
「痛ってぇぇぇぇっ…!!!」
股間を両手で押さえた少女が啓子の顔から転げ落ちた。
「こんの野郎ぉぉっ!」
「うあぁっ!」
 怒りと共に投げつけられたナイフが啓子の二の腕に不格好に突き刺さる。反射で啓子が腰を浮かせると、ズポっ…と間抜けな音を立てて獰猛な少年の腰が空を切り、冷淡な少年と折り重なって床へ倒れた。ふたりの熟女は身を寄せ合って様子を伺っている。
「コイツ!あたしのマンコ噛みやがった…もう許せねぇっ!」
「そ、そんなつもりは…」
「中野さんへの上納はやめだ!この場で殺すっ…!」
 窓から差し込む逆光に少女の顔は、青白い三白眼を除いて影に塗り潰された。
「あっ、くぅっ!」
 悪鬼は啓子の二の腕に刺さったナイフを抜くと、逆手に持ち直した。その時…
 ガタンっ!
 と建てつけの悪い小屋の入り口が半分ほど開き、新鮮な潮風を連れて悪趣味な柄シャツを着た坊主頭で短身矮躯な男が顔を覗かせた。
「なっ、中野さんっ…!ちっ、違うのっ…」
 少女は性的快感に炙られていた時のような猫なで声を漏らすと背を丸め、一重まぶたを潤ませて男に言い訳をはじめた。
「違うの…あのねっ…勝手に客取ろうとしてたこの女を中野さんに上納しようと調教してただけなの…」
 だが男は微塵も表情を変えず、薄青色のスクエア型サングラス越しのアーモンドアイでひたすら少女を見据えていた。かと思うと突然、勢い良く小屋の中へ駆け込んできた。
「ご、ごめんなさぁいっ…!」
 少女はナイフを持った腕で顔を覆って身構えるが、
 バタンっ!
「え…?」
男は顔面から床へ突っ伏した。
「な、中野さん…どうしたの…?」
 男へ駆け寄らんとする少女だったが、その後ろにスーツ姿の男が無表情で立っていることに気づく。
「ま、学さん…」
 学だった。
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