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正義と道徳のアクメ
第5章 女上司の性器からは畳や襖のような風情ある芳香が立ちのぼる!

ぶ厚い雲が毒々しく陽の光をくすませる午後三時ごろのこと。
(このままじゃ私の美学が全否定されちゃう…敗北?冗談じゃないっ!この汚点、どうにか取り戻さなくっちゃ…)
高島美鈴は喉を締め上げる後ろめたさに苛まれながら、真っ直ぐに伸びるレールを滑走する新幹線の車窓から灰色の風景を眺めていた。
日本経済の発展と諸外国への喧伝のため、国じゅうの牧歌的風景を南北に切り裂いて我を通す大動脈。この乗り物は美鈴の理想の生き方そのものだった。
こんな鬱屈など酒で吹き飛ばしたい気分もあったが、あえて真摯に受け止め、生涯忘れぬよう噛み締めるべきだとも思った。
(この新幹線のように目的に向かって最速で突っ走ってたってのに…私の人生返せっ!あの、クズ野郎…)
『キンコンカンコンカン、本日は新幹線をご利用くださいましてありがとうございました。まもなくxxxxです。在来線、地下鉄線はお乗り換えです』
こんな呑気なアナウンスも車窓のだだっ広い田園風景と徒党を組み、社会という戦場から放り出された美鈴を責め立てているように感じた。
『未消化の有給もあるしさーぁ?たまにはまとめて休み取んなよ。っていうか取ってくんないと俺が上から怒られちゃうんだよね…ガハハっ!』
ドンっ!と窓枠を強く殴りつけてしまう。チラホラと指定席を埋める車両内を見回すが、誰もこちらを見てはいなかった。
まさか、この高島美鈴が特段の事情もなく十日間連続で有給を使用するだなんて。噛み締めた奥歯の底から滲む苦みが口いっぱいに広がる。とはいえ、前向きに捉えればタイミングが良かった。もはや、いても立ってもいられなかったのだから。
「あ」
停車駅が近づき、高架へ駆け上る車窓を混沌とした街並みが見上げてくる。美鈴はスっと気持ちを切り替えてスマホを仰向けに起こした。そして、途中まで見かけていた【日本縦断スタンガン強盗事件 最新情報】のまとめサイトに視線を落とす。
556:名無しガン100万ボルト 20xx/02/2x(水)12:11
ID:*******
中肉中背の男と小柄な女の二人組でどっちも紺のスーツ着てるらしい
557:名無しガン100万ボルト 20xx/02/2x(水)12:18
ID:*******
二人とも頬に傷があって警察では「右頬」「左頬」と呼んでるらしい
(このままじゃ私の美学が全否定されちゃう…敗北?冗談じゃないっ!この汚点、どうにか取り戻さなくっちゃ…)
高島美鈴は喉を締め上げる後ろめたさに苛まれながら、真っ直ぐに伸びるレールを滑走する新幹線の車窓から灰色の風景を眺めていた。
日本経済の発展と諸外国への喧伝のため、国じゅうの牧歌的風景を南北に切り裂いて我を通す大動脈。この乗り物は美鈴の理想の生き方そのものだった。
こんな鬱屈など酒で吹き飛ばしたい気分もあったが、あえて真摯に受け止め、生涯忘れぬよう噛み締めるべきだとも思った。
(この新幹線のように目的に向かって最速で突っ走ってたってのに…私の人生返せっ!あの、クズ野郎…)
『キンコンカンコンカン、本日は新幹線をご利用くださいましてありがとうございました。まもなくxxxxです。在来線、地下鉄線はお乗り換えです』
こんな呑気なアナウンスも車窓のだだっ広い田園風景と徒党を組み、社会という戦場から放り出された美鈴を責め立てているように感じた。
『未消化の有給もあるしさーぁ?たまにはまとめて休み取んなよ。っていうか取ってくんないと俺が上から怒られちゃうんだよね…ガハハっ!』
ドンっ!と窓枠を強く殴りつけてしまう。チラホラと指定席を埋める車両内を見回すが、誰もこちらを見てはいなかった。
まさか、この高島美鈴が特段の事情もなく十日間連続で有給を使用するだなんて。噛み締めた奥歯の底から滲む苦みが口いっぱいに広がる。とはいえ、前向きに捉えればタイミングが良かった。もはや、いても立ってもいられなかったのだから。
「あ」
停車駅が近づき、高架へ駆け上る車窓を混沌とした街並みが見上げてくる。美鈴はスっと気持ちを切り替えてスマホを仰向けに起こした。そして、途中まで見かけていた【日本縦断スタンガン強盗事件 最新情報】のまとめサイトに視線を落とす。
556:名無しガン100万ボルト 20xx/02/2x(水)12:11
ID:*******
中肉中背の男と小柄な女の二人組でどっちも紺のスーツ着てるらしい
557:名無しガン100万ボルト 20xx/02/2x(水)12:18
ID:*******
二人とも頬に傷があって警察では「右頬」「左頬」と呼んでるらしい

