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正義と道徳のアクメ
第5章 女上司の性器からは畳や襖のような風情ある芳香が立ちのぼる!
 啓子はダッシュボードに、シンプルなピンク色のクリアケースに入ったスマホを置いた。それを目にした学は8の字に激しく車を蛇行させて道路脇へ急停車させた。
「そ、それはっ…!」
 そのスマホは高島美鈴のものだった。
 駅の方向から遠巻きに救急車とパトカーのサイレン音が響いてくる。
 昨晩、高島美鈴は露天風呂から立ち去る際に学にこう告げていた。
「明日の午前六時、駅の上りホームまでひとりで来て。一緒に自首しよう?もし、自首するのが嫌なら、私………とにかく、待ってるから!」
 脱力のあまりハンドルに頭の重みを預ける学のズボンの上へ、悪女の指先が伸びる。そしていつものように巧みにジッパーを開くと、しおれて湿った肉茎を盗難車内の淀んだ空気に晒した。
「私だって、学さんのこと…死んだ兄にどこか似てるって思ってたもん…」
「………」
 のどかな国道沿いの風景が、学には目の荒いドット絵のように映った。
 そんな中、レトロなレーシングゲームに興ずるように学はヨロヨロと南へ車を走らせた。


 俺は彼女と出会ったあの夜、この女を一生離すもんか。と密かに誓ったけれど、今はその気持ちに変化が起こっていることにあらためて気づいたんだ。
 これまでは心のどこかで「女は守るべきもの」だと思っていたけど、彼女は俺なんかよりもずっとタフで無邪気で自由だった。顔にあんな大きな傷をつけさせちまった、傷モノにしちまった罪悪感を向けることなんてお門違いだというほどに。
 彼女のそんな部分を受け入れられるか不安だったけど、何の心配もなかったみたいだ。俺は、こんな自分のために迷わず途方もないことをしでかしてくれる人間がこの世界にいたことに感動すらしていたんだから。
「ねぇ、しよっ?どっか人目のないところに車止めて…何だか興奮が収まらないの…普段よりも凄いの…どうしてかなぁ…?」

 そんなことに無上の喜びを感じてしまう俺のような奴は、このまま生きていてはいけない気がしていた。

 恐ろしいのは彼女よりも、俺の方なんだって。



第6章 言え!あの男のモノよりもこっちの方がイイと言えっ! へつづく
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