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正義と道徳のアクメ
第1章 とても言葉に出来ない箇所に彼女の舌が這い回ってるんだ!
「信じて貰えないと思うけど、私も…キスしたことないんです」
 はっ、と思い出したように男が視線をやった結合部のコンドームの根本には、真っ赤な血の絡んだ潤滑油がベットリと絡みついていた。男は焦点の合わぬ目で私を見下ろすと、
「お、俺なんかで良かったら…」
と言って手首で唇を拭った。
 私は動画で予習した通りそっと微笑みかけ(笑うのが苦手だから非常に照れくさい)、誘うように男の首に腕を回した。そしてぎこちなく唇の乾いた箇所が合うや否や、舌が勝手気ままに動き始めて訳が分からぬまま触れたそばからお互いの粘膜を貪り合った。
 クチャっ…ヌチャっ…とはしたない音が耳の中に響くが、それが次第に美しく感じられてくる。頭の中はいつしか薄いピンク色のレースに覆われ、きっと貴族だって王様だって歴史上の人物みんなこんな音を立てていたんだ。と思うと、自分もそんな高尚な人間にやっとなれた気がした。
「い、痛っ…!」
「ごめんっ…大きくなってきちまって…痛かった?」
 ずっと刺さりっぱなしだった男がさらに体積を増やし、鮮烈な痛みを与えてきた。
「うん、痛いです…でも、痛いのに…ヒリヒリするのに…ずっとこうしてたいんです…」
「………」
「あっ、さっきから訳分かんないことばっか言ってごめんなさい…」
「いや、全然気にしてないけど…」
「じゃあ、もうちょっとこうしてません?まだお互い卒業してない感じですもんね。処女と童貞を…」


「うおぉっ…!」
 俺は女に頭を強く引き寄せられ、相手のせいにするように遠慮なく全体重を預けた。
「くっ…!」
 肌と肌の密着に鳥肌がウエーブするように全身にくまなく沸く。さっき初めてのキスで感じたヨーグルトの蓋の裏の匂いのような透明な女の息が遠慮なく鼻にかかり、興奮とかそういうのとは全く違う感情が俺から生まれかけていた。どうにも言語化できない、なのにどこか懐かしいような感情が。
(な、何だよコレ…いいのか?こんな気持ち良いことしちまっていいのかよ…みんな、こんな脳ミソがとろけそうな思いして平然と社会で生きてたってのか…?ダメにならずに…)
 汗でさらに肌は一体化し、充血したモノが動かず突き刺さってるだけだというのに、懸命に腰を動かしていた時とは次元の違う快楽に沈み込んでいって面喰らう。
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