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正義と道徳のアクメ
第6章 言え!あの男のモノよりもこっちの方がイイと言えっ!

その日の午後七時すぎ。大広間の『鳳の間』でグループホームで暮らす二十人ほどが集って夕食を取った。
人数に対して大広間が広すぎるせいか、二人から四五人に分かれたグループがそれぞれ距離を取り合って陣取っていた。
代表と五月は舞台幕の前で淡々と食事を取っていたが、他の全員は出入り口のふすまの近くで背を丸めて向き合う学と啓子に絡みつく視線を浴びせていた。
ふたりは、まるで口を聞くことなく黙々と食事を取った。
本来ならは話さなくてはならないことが無尽蔵にある、切羽詰まった状況だというのに。
期せず五月と交わってしまった後、俺は彼女が『龍の間』に戻ってくる物音で目を覚ました。
慌てて跳ね起きたが、俺は一切の着衣の乱れもなく普段どおりの姿だった。
彼女も『龍の間』を出て行った時と別段変わらぬ様子だったこともあり、何も言葉を交わすことなくそのまま食事に出てきてしまった。
別段変わらぬ様子───それは、嘘だ。
まるで別人の魂が入ったかのように変わり果てた彼女の様子に、俺は明らかに戸惑っていた。
きっと、彼女も俺に同じように思っていたのではないかと思う。
腹を割ってとことん本音をぶちまける快感を知った俺と彼女の間に、余計な口を聞けぬ雰囲気がみっちりと充満していた。
そんなことに気を取られていたからか、俺は大切なものが無くなっていることに全く気がついていなかったんだ。
第7章 これだけ顔を寄せ合って唇が触れなかったことがあっただろうか! へつづく
人数に対して大広間が広すぎるせいか、二人から四五人に分かれたグループがそれぞれ距離を取り合って陣取っていた。
代表と五月は舞台幕の前で淡々と食事を取っていたが、他の全員は出入り口のふすまの近くで背を丸めて向き合う学と啓子に絡みつく視線を浴びせていた。
ふたりは、まるで口を聞くことなく黙々と食事を取った。
本来ならは話さなくてはならないことが無尽蔵にある、切羽詰まった状況だというのに。
期せず五月と交わってしまった後、俺は彼女が『龍の間』に戻ってくる物音で目を覚ました。
慌てて跳ね起きたが、俺は一切の着衣の乱れもなく普段どおりの姿だった。
彼女も『龍の間』を出て行った時と別段変わらぬ様子だったこともあり、何も言葉を交わすことなくそのまま食事に出てきてしまった。
別段変わらぬ様子───それは、嘘だ。
まるで別人の魂が入ったかのように変わり果てた彼女の様子に、俺は明らかに戸惑っていた。
きっと、彼女も俺に同じように思っていたのではないかと思う。
腹を割ってとことん本音をぶちまける快感を知った俺と彼女の間に、余計な口を聞けぬ雰囲気がみっちりと充満していた。
そんなことに気を取られていたからか、俺は大切なものが無くなっていることに全く気がついていなかったんだ。
第7章 これだけ顔を寄せ合って唇が触れなかったことがあっただろうか! へつづく

