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正義と道徳のアクメ
第7章 これだけ顔を寄せ合って唇が触れなかったことがあっただろうか!
「どうして言えないんだい?パパと君はこの世でたったひとりの父と娘じゃないか…なぁ?うふふっ…」
「い…嫌ですっ…」
 ベッドの上で啓子は背中にシミを散りばめた初老の男に全裸で組み敷かれ、そのうえ鼻頭をひっつけられ、白髪混じりの怒張をねちっこく出し挿れされていた。
 その周囲には代表と共に夕食時に見かけた男女が浴衣にベネチアンマスクを着けて立ち並び、残り数人が壁を押し転がしていた。
 さらに年齢不詳の素顔の女が啓子たちの行為に魅入りながら、浴衣の上から胸の膨らみや下腹部をさすってアンアンと身悶えしている。
「な、何なんだよ…このグループホームはよぉっ…!」
 五月から抜刀するなり学は啓子へ駆け寄るが、代表に立ち塞がられる。
「どけっ…!」
「君には、彼女が無理矢理あんなことをさせられているように見えるのか?」
「………」
 学は噴き上がる感情の数々を喉元に詰まらせた。
 あらためて見直すと、啓子は何らかの義務感をもって初老の男に従っているようであり、港町で監禁されていた時のような差し迫る危機感は見られなかった。
 代表はふたりがサインをしたグループホームの利用契約書を突き出すと、その裏面を見せた。
「こ、これは…」
 そこには表面の第八条までの規約に加えて小さく第九条の記載があり、【当ホームが定期的に開催するパーティへの参加を義務づけるものとする。特段の理由なく従わぬ場合には、代表者の権限で知り得る情報の提供を関係各所へ行う場合もある】と書かれていた。
「ベロをあーんって長ーく出してごらん?パパが食べてあげちゃうからね…よく子供の頃そうやって遊んだろう…?」
「んん~っ…うっ…やぁっ…!」
「いいからホラ、こうやって…ベーーーってベロ出してごらんよぉ…」
 壁をブチ抜いた大部屋に充満するローズヒップに似たアロマの香りが頭痛を催すなか、薄気味悪い要求を続ける川上氏から顔を背けた啓子と目が合った。彼女は気まずさや後ろめたさなど微塵も匂わせず、眉頭をしかめて瞳だけで微笑んで見せた。
 あまりの不可解さに学の情緒は完全に行き先を失い、あべこべに怒張の根元からみじめな射精感が突き上げてきていた。
「学さんは死んじゃダメだからね…ココに残って生きて…あうぅっ!」
「君は…いったい…何を言ってるんだ…?」
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