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正義と道徳のアクメ
第7章 これだけ顔を寄せ合って唇が触れなかったことがあっただろうか!
 そのままふたりは橋の欄干に体重を預け、すぐにひとつになった。


「あぁぁ~っ!や、やっぱ学さんのが…んぅぅっ…イイっ…!」
 いつしか俺たちは薄明に照らされ、お互いにけっこう泥だらけだったことに気づく。
 少しづつ形状が明らかになってゆく彼女の尻の隙間を、ひっきりなしに出入りする自分の性器をぼんやりと眺めた。
 まさかこの俺がセックスをしている事実に慣れてしまうだなんて、そんな日が訪れたことが何だか誇らしかった。
 そう、始まりはコイツからだった。
 俺は彼女と出会った以上に、このセックスってやつと出会って変わった。
 コイツにさえ出会わなければ俺は…いや、それは彼女も同じかもしれない。
 そうそう、こうやって本音にフィルターをかけたような話し方はもうやめよう。
 簡単に言えばセックス───それも、愛した相手との───っていうとんでもない希望の光を知っちまったことで俺は、逃げ出した社会っていう地獄に戻っても何とかやれるような気に今さらなっちまったんだ。もう、戻れないんだけど。
 それ以上に全く別の地獄が口を開けて待ってることを思うと、あの頃の地獄に耐えときゃ良かったなぁと、このセックスって奴に思わされたことは少し癪に障ったけれど。

 すると彼女は突然、山と渓谷と俺に叫んだ。
「ねぇっ!あのさぁ…?ふたりでこんなに気持ちイイこと出来るのに!私…死にたくないよぉっ!ずーっとセックスしてたいんだけどっ!死ぬの、やめないっ?」
「………」
 俺が答えられずに自分の性器が出入りする様を呆然と眺めていると、
「どうなのっ?答えてよぉ!」
彼女はさらにそう叫んだ。



第8章(最終話) 何だか、新婚初夜みたいだね! へつづく
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