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騎士団長は恋に溺れてはいけない──それでも君を抱きしめた夜
第1章 この想いは、ただの憧れ
これは、ただの誇りか。それとも、女としての彼女を……?

「ありがとうございました!」

彼女の声に我に返り、軽く頷く。

それだけのはずだったのに──

なぜだろう。

俺の喉が、やけに乾いていた。

そして騎士団に入ったセラを、俺は一から叩き直した。

「構えは真っ直ぐだ。」

「はい!」

返事の声は真剣で、どこまでも素直だった。

教えたことをひたむきに繰り返す姿勢は好ましく、何より──覚えが早い。

努力で身につけてきた技術の一つ一つが、剣筋に宿っていた。

「……ほら、また斜めになっている。」

俺は彼女の背後に立ち、手を伸ばした。

右の肩に軽く触れ、左手で剣を持つ手をゆっくりと正す。
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