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第1章 痴漢されて

「齋藤の就職先は？」

と、聞く志穂。

「就職先は、■■銀行です」

と、崎浜が答えた。

「メガバンクか。ま、あの大学で、あの見た目なら、採用になるだろうな」

と、篠塚も納得という感じ。横で創志も頷いた。

「正義感も強いようだし、金を扱わせても心配なしということかもしれないな」

と、崎浜が応じた。

「法学部法律学科となると、法的な知識もある。下手に突っつくと、藪蛇になるかもしれないな」

と、創志が話すと、

「しかし、彼女がいるんだろ？」

と、篠塚に確認する創志。

「佐藤咲良というアイドル顔の可愛い系の彼女がいます」

と、篠塚が応じたが、

「正確には彼女気取りですよ。同学年の他の女子に聞くと、佐藤という女子学生は、齋藤の彼女気取りでいるけど、齋藤は面倒くさい感じで接しているとか」

と、隅田が訂正した。

「モテるのね。多分、その女子学生も齋藤が気になっていて、積極的な佐藤という女子学生が鬱陶しい、もしくは、嫉妬している感じね」

と、志穂が笑った。

「そうか。彼女だというなら、そこから落とす方法もあったのだが、その程度の関係だと、齋藤の正義感次第だな」

と、創志が失笑した。

「どういうこと？」

と、志穂が聞くと、

「佐藤という女をそれこそ、この間の女子大生みたいに落として、泣きつかせて、織姫を差し出させる。要するに、罠にかける手伝いをさせようと考えていたのだが、どうだろう？」

と、創志が首を傾げると、

「そういうことね。自分に首ったけの女と、自分が首ったけの女を天秤にかけたらって、そんなの決まっているじゃない」

と、志穂が笑った。

「そうなるよな」

と、創志が頭を掻いた。

「とはいえ、あのアイドル顔の女子大学生も、結構、楽しめそうけどね」

と、篠塚が笑った。

「ダメもとで、ハメ倒すか」

と、笑い声をひそめて、篠塚が言ったが、

「それはそれで面白そうだけど、無理ですよ」

と、隅田が言った。

「なぜだ？」

篠塚の話を乗り気で聞いていた崎浜が聞くと、

「大学の寮生です。拉致でもするならともかく、前の方法は使えないです」

と、隅田が答えた。

「そうか。さすがに、それは足が付く」

と、創志が首を振った。志穂も手を広げて、無理だというジェスチャー。