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第1章 痴漢されて

さあ、中身なんて、全くわからないけど？というのがオリザの反応。過去のメッセージのやり取りを見ても、それほど深いやり取りはしていないと思ったが、

「同世代の女子って、すぐに『コンパしませんか？』とか『いい店を知っているんです。一緒ディナーとか、どうですか？』とか、誘ってくるんで。いきなりアルコール？夜？ってなりません？僕はそんな軽薄な男じゃないし、そんな会って話したこともない女の子とお酒を飲んだり、夜に一緒に出歩いたり、しません。というか、そういうお誘いをしてくる女の子って興味が湧かないんですよね。織姫さんは、そういうところがなくて、メッセージも大人びていて、学生の僕には魅力的です」

と、メッセージがあって、なるほどね。とオリザは思った。たしかに、これくらいイケメンで、裕福な雰囲気、ボンボンオーラがあると、女の子が放っておかないのね。でも、それに食傷気味ということかしら。わからないでもないわ。オリザは理解できた。オリザも学生時代、モテた。名門女子大の附属からエスカレーターで進学。お嬢様のニオイがプンプンしていて、母親と買い物に行って買ってもらう衣装は海外の高級ブランドばかり。そして、それが似合うスタイルをオリザは持っていた。それと、オリザという一風変わった名前が印象的で、あっという間に、認知され、オリザが参加するというだけでイベントは男子が集まった。

お陰で、LINEはいつも三桁の着信数。マメなオリザはそれに応えていた。だから、勘違いする男もいて、いろいろあった。確かに、ウザいということもあったし、ストーカーっぽい男子もいた。

でも、大学卒業で、全てを終わらせた。キャリアを変えるついでに、電話番号を変えて、データも一部しか引き継がなかった。信頼できる友達以外は、全てシャットアウト。

それができたのは、住んでいるところまで変えたから。というのも、配属先が遠方だったからだけど、それもオリザの希望だった。

でも、結局、結婚で舞い戻ってしまったけど、5年ほどの間に、結婚する子もいれば、海外勤務や地方に転勤になる子もいて、思ったほど騒ぎにもならなかった。

なにより、姓が変わったのは大きい。さすがにオリザという名前は変えられないけど。