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裏切りの騎士は、愛で私を救う
第1章 塔の上

その瞳は、まだ私に忠義を誓っていた。
涙が滲む。
「王よ——もうよろしいでしょう」
カイルが、背後の影に向かって声を張った。
「この国の王族は、もはや権威を失った!ご覧の通り、皇女殿下も戦意を喪失しております」
まるで——まるで、すべてが演技であるかのように。
塔の奥から響く敵方の笑い声。
「ほう……」
敵方の王、ヴァルド・ザルガスが低く笑った。
カイルが私たちの前に進み出る。そして、静かに口を開いた。
「殿下。さあ……行ってください」
「……!」
カイルの目が揺らいだ。
嘘をついている目じゃない。むしろ、痛みを抱えている目。
彼が……私たちを、守ろうとしてくれた?
私は、その言葉の裏にある真意に気づきかけていた。
涙が滲む。
「王よ——もうよろしいでしょう」
カイルが、背後の影に向かって声を張った。
「この国の王族は、もはや権威を失った!ご覧の通り、皇女殿下も戦意を喪失しております」
まるで——まるで、すべてが演技であるかのように。
塔の奥から響く敵方の笑い声。
「ほう……」
敵方の王、ヴァルド・ザルガスが低く笑った。
カイルが私たちの前に進み出る。そして、静かに口を開いた。
「殿下。さあ……行ってください」
「……!」
カイルの目が揺らいだ。
嘘をついている目じゃない。むしろ、痛みを抱えている目。
彼が……私たちを、守ろうとしてくれた?
私は、その言葉の裏にある真意に気づきかけていた。

