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裏切りの騎士は、愛で私を救う
第1章 塔の上

ヴァルドは壁際の椅子に腰を下ろし、足を組む。
「始めろ。見届けてやる」
再び私とカイルだけの世界。
それでも、見られている。嗤われている。
だけど。
「……すみません。こんなことになって……」
カイルが私の耳元で、かすかに囁いた。
その声が震えていることに、私は気づいた。
「いいのよ」
私は目を閉じ、息を整える。
「……さあ、思い切ってやって。私たちは、生きなければならないから」
その瞬間、彼がわずかに息を呑んだ気配があった。
そして——
「目を、瞑っててください」
静かにそう言って、カイルは私を優しく抱きしめた。
温かかった。震えていたのは、私のほうだった。
「なるべく、優しくします。……直ぐに終わらせますから」
「始めろ。見届けてやる」
再び私とカイルだけの世界。
それでも、見られている。嗤われている。
だけど。
「……すみません。こんなことになって……」
カイルが私の耳元で、かすかに囁いた。
その声が震えていることに、私は気づいた。
「いいのよ」
私は目を閉じ、息を整える。
「……さあ、思い切ってやって。私たちは、生きなければならないから」
その瞬間、彼がわずかに息を呑んだ気配があった。
そして——
「目を、瞑っててください」
静かにそう言って、カイルは私を優しく抱きしめた。
温かかった。震えていたのは、私のほうだった。
「なるべく、優しくします。……直ぐに終わらせますから」

