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冒険者とエルフが織りなす、野性的で官能的な物語。
第3章 詠唱無き森

あの男、カイランが去った後、エリアーナの心は嵐だった。屈辱と怒り。それと同時に、抗いがたく体を蝕む、行為の残滓。彼女は森の泉で何度も体を清めたが、肌に刻まれた記憶と、魂に染み付いた彼の匂いは消えなかった。
彼女は知っていた。彼はまた来る。獣が味を占めた狩場に再び姿を現すように、必ず。
だが、三度目は同じ過ちを繰り返さない。エリアーナは自身の内に流れる、古代からのエルフの血に意識を集中させた。物理的な力では彼に劣る。ならば、森そのものを己の武器とするまで。
さらに数日が過ぎ、森の空気が重く淀んだ日。カイランは現れた。その歩みには一切の躊躇いがなく、まるで自らの庭を歩む王のようだった。
エリアーナは彼を待ち構えていた。彼女が静かに手を掲げると、カイランの足元の地面から無数の茨の蔓が蛇のように突き出した。
「今度こそ、森の養分となりなさい」
詠唱が始まる。森の気がエリアーナに収束し、大気を震わせる。それは、侵入者を八つ裂きにする風の刃を編む呪文だった。
だが、カイランは獣だった。理屈や魔法の兆候ではなく、殺気そのものを肌で感じ取る。風の刃が形成される、まさにその寸前、彼は身を捻ってそれを回避した。数本が彼の頬を掠め、赤い線を引く。
その一瞬の隙を、カイランは見逃さなかった。彼は懐から一枚の布を取り出すと、詠唱を続けるエリアーナの口に、それを容赦なく押し込んだ。
「んぐっ…!」
声という力を奪われたことで、魔法は霧散した。エリアーナの瞳が驚愕と絶望に見開かれる。詠唱を封じられたエルフは、翼をもがれた鳥に等しい。
抵抗する間もなく、彼女の体は再び大地に押さえつけられた。三度目の屈辱。三度目の絶望。
「……!」
声にならない叫びが、布の奥でくぐもる。カイランはまるで、彼女の抵抗そのものを楽しむかのように、前回よりもさらに激しく、執拗に彼女を組み伏せた。それはもはや、ただの欲望の発露ではなかった。彼女という存在、その誇り、魔法、魂の全てを、己の力で支配し、屈服させようとする、絶対的な支配欲の現れだった。
エリアーナの必死の抵抗は、やがて尽き果てた。激しい衝動の嵐が何度も吹き荒れ、彼女の意識は痛みと、それに逆らうような快楽の狭間で何度も遠のいては引き戻された。
そして、朝が来た。
彼女は知っていた。彼はまた来る。獣が味を占めた狩場に再び姿を現すように、必ず。
だが、三度目は同じ過ちを繰り返さない。エリアーナは自身の内に流れる、古代からのエルフの血に意識を集中させた。物理的な力では彼に劣る。ならば、森そのものを己の武器とするまで。
さらに数日が過ぎ、森の空気が重く淀んだ日。カイランは現れた。その歩みには一切の躊躇いがなく、まるで自らの庭を歩む王のようだった。
エリアーナは彼を待ち構えていた。彼女が静かに手を掲げると、カイランの足元の地面から無数の茨の蔓が蛇のように突き出した。
「今度こそ、森の養分となりなさい」
詠唱が始まる。森の気がエリアーナに収束し、大気を震わせる。それは、侵入者を八つ裂きにする風の刃を編む呪文だった。
だが、カイランは獣だった。理屈や魔法の兆候ではなく、殺気そのものを肌で感じ取る。風の刃が形成される、まさにその寸前、彼は身を捻ってそれを回避した。数本が彼の頬を掠め、赤い線を引く。
その一瞬の隙を、カイランは見逃さなかった。彼は懐から一枚の布を取り出すと、詠唱を続けるエリアーナの口に、それを容赦なく押し込んだ。
「んぐっ…!」
声という力を奪われたことで、魔法は霧散した。エリアーナの瞳が驚愕と絶望に見開かれる。詠唱を封じられたエルフは、翼をもがれた鳥に等しい。
抵抗する間もなく、彼女の体は再び大地に押さえつけられた。三度目の屈辱。三度目の絶望。
「……!」
声にならない叫びが、布の奥でくぐもる。カイランはまるで、彼女の抵抗そのものを楽しむかのように、前回よりもさらに激しく、執拗に彼女を組み伏せた。それはもはや、ただの欲望の発露ではなかった。彼女という存在、その誇り、魔法、魂の全てを、己の力で支配し、屈服させようとする、絶対的な支配欲の現れだった。
エリアーナの必死の抵抗は、やがて尽き果てた。激しい衝動の嵐が何度も吹き荒れ、彼女の意識は痛みと、それに逆らうような快楽の狭間で何度も遠のいては引き戻された。
そして、朝が来た。

