この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ラブドール♡ 優莉花
第1章 第1章:ラブドール、輝く。

第9話
試練の幕開け
⸻
「……ッ」
わずかに、喉の奥で声が跳ねた。
けれど、それは音にはならなかった。
体の奥――背中から脇腹、腰、太もも、胸の下部。
張り巡らされた無数のパッドが、微細な振動を断続的に送り込んでくる。
まるで、音もなく滴り落ちる水滴のように。
静かに、だが確実に、彼女の意志の壁をノックし続けていた。
「……平気、平気…こんなもの」
脳内で、言葉を繰り返す。
表情筋は一切動かさない。
指先すらも動かさない。
が、その無音の中で――何かが変わる。
次の瞬間、振動のリズムが、ガラリと変わった。
ゆっくり、ゆっくりと波打つように――ずっと、ずっと内側に残る“余韻”を伴って。
それはまるで、呼吸と呼吸の合間を縫って、心臓の鼓動そのものをトレースするかのような波形。
「ッ……あ……」
吐息が、かすかに漏れそうになった。
でも、漏れなかった。
彼女は――止めたのだ。
自分の内側に芽生えかけた「感情の音」を。
◇
《5分経過。現在、感情反応なし。》
モニター越しの制御室では、AIによる心拍と筋反応のログが淡々と記録されていた。
「順調だな……」
制御オペレーターのひとりがつぶやく。
「でも、ここからだろ。本番は」
となりの同僚が、別のボタンを押す。
カチリ。
わずかな音と共に、第二波が始まる。
試練の幕開け
⸻
「……ッ」
わずかに、喉の奥で声が跳ねた。
けれど、それは音にはならなかった。
体の奥――背中から脇腹、腰、太もも、胸の下部。
張り巡らされた無数のパッドが、微細な振動を断続的に送り込んでくる。
まるで、音もなく滴り落ちる水滴のように。
静かに、だが確実に、彼女の意志の壁をノックし続けていた。
「……平気、平気…こんなもの」
脳内で、言葉を繰り返す。
表情筋は一切動かさない。
指先すらも動かさない。
が、その無音の中で――何かが変わる。
次の瞬間、振動のリズムが、ガラリと変わった。
ゆっくり、ゆっくりと波打つように――ずっと、ずっと内側に残る“余韻”を伴って。
それはまるで、呼吸と呼吸の合間を縫って、心臓の鼓動そのものをトレースするかのような波形。
「ッ……あ……」
吐息が、かすかに漏れそうになった。
でも、漏れなかった。
彼女は――止めたのだ。
自分の内側に芽生えかけた「感情の音」を。
◇
《5分経過。現在、感情反応なし。》
モニター越しの制御室では、AIによる心拍と筋反応のログが淡々と記録されていた。
「順調だな……」
制御オペレーターのひとりがつぶやく。
「でも、ここからだろ。本番は」
となりの同僚が、別のボタンを押す。
カチリ。
わずかな音と共に、第二波が始まる。

