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ラブドール♡ 優莉花
第1章 第1章:ラブドール、輝く。
第1章 笑顔の向こう

第一話



控室のドアが静かに開き、
マネージャーの西川さんが、一枚の書類を持って入ってきた。
いつもよりスーツのシワが多くて、目の下には薄くクマが見えた。

 

「優莉花ちゃん、ちょっと大事な話があるんだ」

 

テーブルに置かれた書類には、
“所属タレント契約譲渡に関する同意書”
という、固いタイトルが印刷されていた。

 

「……え?」

 

思わず声が出た。
でも、西川さんはすぐには何も言わなかった。
ほんの数秒、口を開きかけては閉じ、ようやく小さく笑った。

 

「会社の方針で、少しだけ…ね。
新しい現場でも、変わらずファンはついてくるから、大丈夫」

 

その“いつもの口癖”が、今日はやけに冷たく聞こえた。

 

でも次の瞬間、
西川さんは小さく息を吐いて、言った。

 

「……ほんとはね、手放したくなかったんだよ」
「トップスターの君を、こんな形で送り出すなんて、ほんとは嫌だった」

 

優莉花は黙っていた。
声を出したら、何かがこぼれそうだった。

 

「デビューの時から、ずっと見てた。
現場で泣いた夜も、笑ってた日も…
君があの子たちの希望になっていくのを、俺は知ってる」

 

西川さんの声が、かすかに震えた。

 

「だから、信じてる。
どこに行っても、君は“希望”でいられる。
ラブドールじゃない、“優莉花”として」

 

一瞬だけ、
空気が止まったように感じた。

 

でも彼はそれ以上言わず、
笑って、立ち上がって、ドアの方へ向かった。

 

「書類は、あとでいいよ。
ゆっくり考えて――
……いや、きっと、君はすぐ頷くんだろうなって思ってるけどさ」

 

その背中が、
少しだけ寂しそうだった。

 

優莉花は、微笑んで頷いた。
いつも通りの笑顔だった。
ファンに見せる、完璧な“私”の顔。

 

「はい、大丈夫です。私、頑張ります」

 

──それが、
本当の別れの挨拶だったのかもしれない。
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