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鬼灯の寵愛
第1章 幾千の時を越えて
「…………」

鬼灯は、目を覚ました。
自分の部屋の机に突っ伏していたらしく、腕や首が痛い。

「……なんで今更、あんな昔の夢を……」

首の痛みに表情を顰めながら、たった今見ていた夢に思いを馳せる。
大昔の自分の過去。元々その村の生まれではなくみなしごであり、召使いという意味の丁という名前で呼ばれていた。
村人全員は村長も子供達も含め、全員が自分をよそ者扱いして誰も相手にしてくれなかった。
誰からも相手にされないならそれでも良いと思いながらも、窮屈で億劫な毎日を過ごした。
そんな毎日の中で唯一生き甲斐があったとすれば、1人の少女に会う事だった。
村長の一人娘、姫と呼ばれる少女。自分より僅かに年下の病弱な娘。
村長や家の者の目を盗んでは、彼女の部屋に話相手として会いに行くのが唯一の生き甲斐だった。
彼女はほとんど部屋の中から出た事がなく、家の者以外と話す事が全くと言って良いほど皆無だった。
自分が会いに行くと、いつも笑って喜んでくれた。
孤独な自分に生き甲斐をくれた少女に、仄かな想いを抱いていた。

「いつもお喋りしてくれてありがとう、丁さん」
「いえ、こんな私の話でも楽しんでもらえて嬉しいです」
「謙遜しないで下さい。私はいつも部屋の中から出られないから、外の事を教えてもらえて嬉しいの。最近は父上様や母上様もあまりお喋りしてくれないから」

血の繋がった家族がありながら、疎外感に苛まれていた娘。
彼女も孤独だったのだ。
自分は、みなしご故の孤独。
彼女は、病故に家族に愛想を尽かされ、外に出る事すら叶わない孤独。
孤独故に心を閉ざしていた自分と、孤独故に誰かに愛されたいと願った少女。
――傷の舐め合いでも構わない。

「……姫、私は――――」
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