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鬼灯の寵愛
第1章 幾千の時を越えて
… … … …
「判決、焦熱地獄行き!」
亡者を目の前にして、閻魔大王は鋭く言い放つ。
「ひぃぃ! 慈悲を! どうか慈悲をぉぉ!」
「慈悲はない!」
亡者は獄卒に抱えられ、情けない声で喚きながら連れて行かれた。
扉が閉まり、これで午前の仕事は終わりを告げる。
「……あー疲れた。今日はいつもより忙しい気がするなぁ」
先程までの気迫はどこへやら。昼休みになった瞬間に大王は机に突っ伏した。
それを見て、補佐官の鬼灯はため息をつく。
「これしきで疲れられては困りますよ」
「だってワシ、勤続云千年だよ?」
「事実ですが言い訳です」
「理不尽だなぁ……」
鬼灯にピシャリと言いくるめられるのも慣れた様子。
この2人はいつもこんな感じだ。
「鬼灯くん、お昼にしようよ」
「もう少しお待ち下さい。書類の整理が終わっていませんので」
「えー、でもワシお腹空いt」
「早く昼食にしたいなら手伝って下さい」
「お腹空いたっつってんのに、もう」
「それに、お昼なら荊さんに頼んでありますから、待っていれば直に来ますよ」
鬼灯は懐中時計を見て、時刻を確認する。
「へぇ、荊ちゃんに?」
「ええ。最近話題の1日10食限定のステーキ定食が半額になるそうで、弁当に詰めて持ち帰ってもらえるようお願いしました」
「あっ、あのテレビで特集してたヤツ!? 3割も閻魔庁が取っちゃって良いの!?」
「あ、領収書は閻魔庁でお願いしましたので」
「職権乱用にならないかな!?」
と、その時。
「只今戻りました」
凛とした少女の声と共に、閉め切った法廷の中にふわりとそよ風が起こった。
「荊さん、お帰りなさい」
「お帰り、荊ちゃん」
鬼灯の隣に、彼と同じ黒い着物を着た少女の鬼が立っていた。
白く長い髪に、頭には2本の角。着物の袖は襷にかけられている。
荊と呼ばれた少女は、にっこり微笑んだ。
「判決、焦熱地獄行き!」
亡者を目の前にして、閻魔大王は鋭く言い放つ。
「ひぃぃ! 慈悲を! どうか慈悲をぉぉ!」
「慈悲はない!」
亡者は獄卒に抱えられ、情けない声で喚きながら連れて行かれた。
扉が閉まり、これで午前の仕事は終わりを告げる。
「……あー疲れた。今日はいつもより忙しい気がするなぁ」
先程までの気迫はどこへやら。昼休みになった瞬間に大王は机に突っ伏した。
それを見て、補佐官の鬼灯はため息をつく。
「これしきで疲れられては困りますよ」
「だってワシ、勤続云千年だよ?」
「事実ですが言い訳です」
「理不尽だなぁ……」
鬼灯にピシャリと言いくるめられるのも慣れた様子。
この2人はいつもこんな感じだ。
「鬼灯くん、お昼にしようよ」
「もう少しお待ち下さい。書類の整理が終わっていませんので」
「えー、でもワシお腹空いt」
「早く昼食にしたいなら手伝って下さい」
「お腹空いたっつってんのに、もう」
「それに、お昼なら荊さんに頼んでありますから、待っていれば直に来ますよ」
鬼灯は懐中時計を見て、時刻を確認する。
「へぇ、荊ちゃんに?」
「ええ。最近話題の1日10食限定のステーキ定食が半額になるそうで、弁当に詰めて持ち帰ってもらえるようお願いしました」
「あっ、あのテレビで特集してたヤツ!? 3割も閻魔庁が取っちゃって良いの!?」
「あ、領収書は閻魔庁でお願いしましたので」
「職権乱用にならないかな!?」
と、その時。
「只今戻りました」
凛とした少女の声と共に、閉め切った法廷の中にふわりとそよ風が起こった。
「荊さん、お帰りなさい」
「お帰り、荊ちゃん」
鬼灯の隣に、彼と同じ黒い着物を着た少女の鬼が立っていた。
白く長い髪に、頭には2本の角。着物の袖は襷にかけられている。
荊と呼ばれた少女は、にっこり微笑んだ。