この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
鬼灯の寵愛
第1章 幾千の時を越えて
… … … …

「判決、焦熱地獄行き!」

亡者を目の前にして、閻魔大王は鋭く言い放つ。

「ひぃぃ! 慈悲を! どうか慈悲をぉぉ!」
「慈悲はない!」

亡者は獄卒に抱えられ、情けない声で喚きながら連れて行かれた。
扉が閉まり、これで午前の仕事は終わりを告げる。

「……あー疲れた。今日はいつもより忙しい気がするなぁ」

先程までの気迫はどこへやら。昼休みになった瞬間に大王は机に突っ伏した。
それを見て、補佐官の鬼灯はため息をつく。

「これしきで疲れられては困りますよ」
「だってワシ、勤続云千年だよ?」
「事実ですが言い訳です」
「理不尽だなぁ……」

鬼灯にピシャリと言いくるめられるのも慣れた様子。
この2人はいつもこんな感じだ。

「鬼灯くん、お昼にしようよ」
「もう少しお待ち下さい。書類の整理が終わっていませんので」
「えー、でもワシお腹空いt」
「早く昼食にしたいなら手伝って下さい」
「お腹空いたっつってんのに、もう」
「それに、お昼なら荊さんに頼んでありますから、待っていれば直に来ますよ」

鬼灯は懐中時計を見て、時刻を確認する。

「へぇ、荊ちゃんに?」
「ええ。最近話題の1日10食限定のステーキ定食が半額になるそうで、弁当に詰めて持ち帰ってもらえるようお願いしました」
「あっ、あのテレビで特集してたヤツ!? 3割も閻魔庁が取っちゃって良いの!?」
「あ、領収書は閻魔庁でお願いしましたので」
「職権乱用にならないかな!?」

と、その時。

「只今戻りました」

凛とした少女の声と共に、閉め切った法廷の中にふわりとそよ風が起こった。

「荊さん、お帰りなさい」
「お帰り、荊ちゃん」

鬼灯の隣に、彼と同じ黒い着物を着た少女の鬼が立っていた。
白く長い髪に、頭には2本の角。着物の袖は襷にかけられている。
荊と呼ばれた少女は、にっこり微笑んだ。
/12ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ