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鬼灯の寵愛
第1章 幾千の時を越えて
荊「ちゃんと買ってきましたよ。開店前から並んだ甲斐がありました」
鬼灯「お疲れ様です」
閻魔「開店前って、どれくらい並んでたの?」
荊「昨日の夜からです」
閻魔「半日も!? てっきり2、3時間くらいかと……」
荊「だって、あの店はすごい人気店ですよ? しかも限定品だし。鬼灯さんと大王に食べてもらいたくて頑張りました」
閻魔「い、荊ちゃん……ワシ泣いちゃうよ…? こんな良い子を何時間も立ちっぱなしで並ばせてたなんて……」

えへへ、と荊は無垢に笑った。

鬼灯「素晴らしい心意気です。貴女のその純粋さには本当に感心します」
荊「ありがとうございます、鬼灯さん。さぁ、冷めないうちに食べましょうよ。あ、2人用にライスのお代わりもありますからね」

荊の笑顔は、あくまでキラキラしたままだった。

閻魔「その上お代わりまで……ううっ」
荊「あ、あれ? 大王?」
鬼灯「貴女の純真さに感涙してるんですよ。涙脆いジジイが」

冷めた目でサラリと酷い事を言いながら、鬼灯は良い匂いのする弁当を受け取る。

閻魔「ワシが泣いてるのは、こんな良い子をパシリみたいに扱ってる鬼灯くんの無情さが嘆かわしくて……」
荊「だ、大王? 泣かないで下さい? ほら、早く食べないとお弁当冷めちゃいますから。ねっ、ねっ?」

片や、困った様子で王を宥める荊。

閻魔「荊ちゃんも、こんな扱いされてなんで不服だとか不満だとか反論しないの?」
荊「え、なんでって……私、雑用係ですから。そんな質問は逆に困りますよ」
閻魔「すげー! 見上げたプロ根性!」
鬼灯「キャッチフレーズは『閻魔庁の何でも屋』が合致しますね」

うんうん、と鬼灯は頷いた。
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