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鬼灯の寵愛
第1章 幾千の時を越えて
閻魔「……ではでは、お弁当を頂こうかな」

ズビッと鼻水をすすって、ようやく閻魔大王は弁当の蓋をあける。

閻魔「うーん、良い匂い」
荊「はい、お茶です」
閻魔「ありがとう」
鬼灯「頂きます……あ、そう言えば」

荊から茶を受け取り口元に運ぼうとして、鬼灯はピタッと止まった。

鬼灯「弁当と言えば、久しく貴女の手料理を食べていないですね」
荊「あ、そうですねぇ。私もしばらく作ってないですし」
閻魔「え? え? なに? 鬼灯くん、荊ちゃんの手料理食べた事あるの?」
鬼灯「ええ、何度か」
閻魔「えー、なんかずるいなぁー」
荊「いやいや、そんな大した物は作ってないですよ。徹夜する時に雑炊とかお蕎麦を差し入れした程度です」
閻魔「わぁ、料理のチョイスに優しさが溢れてるよ。良いなー」
鬼灯「あの時は本当にありがたかったですね。徹夜の仕事を押し付けられてイライラしてたところに、卵がふんわり混ざった雑炊が格別に美味で……」
閻魔「それはまた実に美味しそ……あれ? ワシへの皮肉も混じってる?」
荊「なら、明日はその雑炊にしましょうか? むしろ炊き出しレベルで沢山作って皆で食べましょうよ」
閻魔「あ、それ良いね! 鍋パーティーみたいで楽しそう」
鬼灯「雑炊パーティーというのも何だか珍妙ですね。しかし、獄卒達に息抜きをさせるにはもってこいの機会かもしれません。というか……」

おもむろに、鬼灯は荊の肩に手を置いて――

鬼灯「雑炊云々でなく、単純に私は貴女を食べたい」
閻魔「ごふっ!」
荊「目、目! 目がマジですよ!」
鬼灯「真面目に言ってますから」
荊「わわ、私は美味しくなんかないですよ!」

ズササササッ!と距離を取る荊。

鬼灯「『空腹を満たすための摂食』ではなく、『性欲を満たすための行為』という意味で食べたいです」
閻魔「(ろ、露骨にぶっちゃけやがった!!)」

と、声に出して突っ込みたい閻魔だが、鬼灯が出しているオーラに気圧されて何も言えない。

荊「嫌あ――っ!! なんでそんな事務的に淡々とぶっちゃけれるの!?」
閻魔「(ごもっとも!)」
鬼灯「真面目に言ってますから」
荊「リピートしないで!」
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