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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第10章 後宮艶夜*スキャンダル  深き眠りの底で~浄心院での日々~
 紫蘭は毎朝、陽の出とともに目覚め、本堂で一心に祈りを捧げる。一刻ばかりも続けた後、食事を取るが、薄い粥と簡素な汁物が三度の食事だ。一日の大半は庭や堂内の掃除をし、漸くそれを終えて狭い自室に戻れば戻ったで写経に没頭する。それが二十一歳の紫蘭の〝余生〟のすべてであった。
 皮肉なものだ。操国では幸せな女性のお手本のように見なされている郁皇后だが、紫蘭の良人だった光徳帝は郁皇后の曾孫に当たる。郁皇后は光徳帝が亡くなる前年に亡くなった。
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