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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第10章 後宮艶夜*スキャンダル  深き眠りの底で~浄心院での日々~
「曺紫蘭。先帝陛下の皇后であられるか」
 紫蘭はひっそりと微笑んだ。
「そのように呼ばれていた時代もありましたが、今はもうただの曺紫蘭です。この浄心院に入った時点で、身分など無くなるのですわ。後宮で皇后と呼ばれていようが、貴妃と呼ばれようが、そんなものは所詮は仮の世のものにすぎません。ここでは皆、亡き方の菩提を弔いながら心静かに余生を送っているのですから」
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