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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第10章 後宮艶夜*スキャンダル  深き眠りの底で~浄心院での日々~
 今、先帝の妻であった女を我が物としてしまえば、その根気よく築いてきたすべて―信頼はうたかたのごとく潰えてしまう。祖母の言うように、徳治帝は名前だけは立派だが、不幸にして早世した異母弟の未亡人まで寝取った好色皇帝として名を残すことになる。
 そんな愚を犯してまで、自分はあの女が欲しいのか。彼は改めて自分に問いかけてみる。だが、応えを出すよりも先に、あの女の少し愁いを含んだまなざしを思い出しただけで、柄にもなく身体の芯が熱くなった。
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