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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第11章 後宮艶夜*スキャンダル 接近~二つの心~
 紫蘭は微笑んだ。
「これは紫蘭という花なのです。牡丹園の向こう、南の方に紫蘭ばかりが咲いている一角があります」
「紫蘭?」
 男は素っ頓狂な声を上げ、籠の中の白い花と紫蘭の顔を交互に見た。
「はい」
「なるほど、そなたと同じ名を持つ花か」
「私の名前を憶えていて下さったのですね」
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