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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第11章 後宮艶夜*スキャンダル 接近~二つの心~
この男が一度すれ違っただけの自分の名前を記憶してくれていたと考えると、何故か無性に心が弾んだ。
男は事もなげに頷いた。
「当然だ。俺はこう見えても人の名前と顔を憶えるのが得意なんだぞ」
親に褒められたい子どもが自慢するように言うのに、紫蘭は我知らず頬を緩める。
「今日も太后さまに届けるのか?」
そこで紫蘭は眼を瞠った。
「私が太后さまに花を届けているのをよくご存じですね」