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第11章 後宮艶夜＊スキャンダル　接近～二つの心～

　女官長がさっと側に寄り、紫蘭の夜着の前で結んだ帯を直すふりをして囁いた。
「何事もすべて陛下にお任せして下さい。少しの間、ご辛抱下されば終わります。くれぐれも早まった真似だけはなさらないように」
　その刹那、紫蘭の頬が薄赤く染まったのに気づいた者がどれだけいたか。先帝と紫蘭の間に男女の交わりがないことを知るのは女官長とごく一部の高位の女官たちのみで、先帝の母である皇太后さえ知らない極秘事項であった。