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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第13章 後宮艶夜*スキャンダル 嫉妬~心に巣喰う魔物~
 温室の中で人工的に育てられている花よりも、こうして庭園で厳しい寒さに耐えている自然の花の方が好ましかった。すべてが灰色に塗り込められている世界で、紅椿だけが色鮮やかに咲き誇っているのが余計に際立っている。
 紫蘭は真っすぐに椿の咲いている一隅に向かった。通常、皇后が庭を歩くというだけでお付きの宮女たちが大勢従うことになるが、紫蘭は大仰にはせず、大抵、数人の伴を連れただけだ。その日も付き従うのは年若い宮女五人である。
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