この作品は18歳未満閲覧禁止です
後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第13章 後宮艶夜*スキャンダル 嫉妬~心に巣喰う魔物~
紅椿の手前まで来た時、紫蘭は小さな人影を見つけた。三、四歳ほどの幼児がしゃがみ込んで何やらしている。熱心に何をしているのかと見ていたら、どうも地面に落ちた椿の花びらを拾い集めているようだ。
紫蘭は子どもを愕かせないようにそっと近づき、声をかけた。
「何をしているの?」
できるだけ気を付けたつもりだが、それでも子どもはビクッと小さな身体を揺らし、恐る恐る紫蘭を見上げた。