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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第13章 後宮艶夜*スキャンダル 嫉妬~心に巣喰う魔物~
「それでは、もう陛下が回復する見込みはないと?」
侍医はますます頭を垂れた。
「残念です。無力な私をお許し下さい」
紫蘭は力尽きた想いで病室に戻った。皇帝は眼を開けている。この男がもうすぐ逝こうとしている。私一人を残して。
そう考えただけで涙が溢れそうだが、本人の前で涙は見せられない。昔、書物で読んだことがある。病は乗り切ろうとする病人の心もちが大切なのだと。