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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第15章 スキャンダル~あとがき~
その後は二人の天皇の菩提を弔いつつ、六十二歳で数奇な女の一生を終えました。
思ひきやうき身ながらにめぐりきて
おなじ雲居の月を見むとは
(憂き身の上ながら、また再び宮中に戻ってきて昔ながらの月を眺めようとは)
平家物語には多子の詠んだという和歌があります。二条天皇の寵愛は深かったといいますが、この再入内は多子の望むところではありませんでした。何故、近衛天皇が崩御したときに出家してしまわなかったのかと嘆き、詠んだ歌だとされています。
以上、簡単に二代后事件についてご説明しました。
初めてこの逸話を知ったのは、まだ中学生くらいのときでした。確か吉屋信子さんの『女人平家』に出ていたのだと思います。当時の私の愛読書は吉屋信子さんで、『徳川の夫人たち』も夢中になっていました。あちらでは江戸時代に三代将軍家光が継目御礼のために登城した伊勢の美しい尼君を見初めて無理矢理還俗させて側室にしてしまったという逸話を知りました。
この二代后事件、お万の方事件、どちらも嘘のようなというか、あまりにも劇的過ぎて作り事ではないかと思ったものですが、史実なんですね。それを知ったときは中学生の私はかなりのショックを受けたものです。
思ひきやうき身ながらにめぐりきて
おなじ雲居の月を見むとは
(憂き身の上ながら、また再び宮中に戻ってきて昔ながらの月を眺めようとは)
平家物語には多子の詠んだという和歌があります。二条天皇の寵愛は深かったといいますが、この再入内は多子の望むところではありませんでした。何故、近衛天皇が崩御したときに出家してしまわなかったのかと嘆き、詠んだ歌だとされています。
以上、簡単に二代后事件についてご説明しました。
初めてこの逸話を知ったのは、まだ中学生くらいのときでした。確か吉屋信子さんの『女人平家』に出ていたのだと思います。当時の私の愛読書は吉屋信子さんで、『徳川の夫人たち』も夢中になっていました。あちらでは江戸時代に三代将軍家光が継目御礼のために登城した伊勢の美しい尼君を見初めて無理矢理還俗させて側室にしてしまったという逸話を知りました。
この二代后事件、お万の方事件、どちらも嘘のようなというか、あまりにも劇的過ぎて作り事ではないかと思ったものですが、史実なんですね。それを知ったときは中学生の私はかなりのショックを受けたものです。