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DIABOLIK LOVERS ~Another~
第2章 生贄の価値
ミズキは、配布するプリントの束を抱えて職員室を後にした。
自分の教室に持って行く物の他に、三年生の教室にも届け物を頼まれてしまったため、重くないものの荷物の量は多かった。
先に三年生の教室へ行こうと、廊下の突き当たりにある階段へ向かって歩いていた時だった。

「あ、いたいた!」
「おーっす、灰川!」

後方から自分を呼ぶ複数の声がしたが、ミズキは振り返らなかった。それどころか、立ち止まりさえしなかった。
その声の主に見当が付いた瞬間、ミズキは露骨に『またか』という顔をしたのだった。
タッ、タッ、と軽快な足音をさせて近付いてくる相手には心当りがある。

「よっ、灰川。今日も可愛いなぁ」

馴れ馴れしく肩を抱いてくる、金髪のツンツン頭の男子。

「なに? これ、教室に持って行くわけ? 手伝うぜ」

ミズキが答える間もなく、プリントの束を取り上げた。これでは親切の押し売りになるが、本人は気付いていない。

「……返して、木野君。持田君も離して」

肩を抱く男子は持田、プリントを取り上げたのは木野。
ミズキは極力低い不機嫌な声を意識して言い放つ。

「相変わらずクールだなぁ、そんなとこ大好きだぜ」

持田は大して気に留めない様子で笑いかける。

「いやいや、女の子に荷物は持たせられないって。俺が持ってやるから心配すんなよ」

愛嬌のある木野はあくまで親切を装い、頑としてプリントを返そうとしない。
――――この2人が、ミズキの悩みの種だった。
二年生の進級と同時にクラス替えがあり、別のクラスだったこの2人がクラスメートになった。
それは別に良かった。クラス替えの結果に過ぎなかったのだから。
ただ、それ以降が問題だった。
同じクラスになった瞬間、2人はミズキに付きまとうようになった。
自分と友人になりたいと思っての事か、と最初は思った。
しかし、月日が経つうちに、2人の行動はそれとは別種の思念である事に気付いた。

『なぁ、灰川。あの逆巻兄弟と同棲してるってマジ?』
『あんな変人の集団と一緒に暮らしてるわけ? 危なー』
『それ以前に、男だらけの中に女子1人ってどうよ? 変な事されてんじゃねーの?』
『うわ、それ大変じゃん。実際どうなんだよ、灰川』

……ミズキは沈黙を貫いた。
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