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DIABOLIK LOVERS ~Another~
第1章 餌の少女
「君はホントに、従順で大人しい生贄ちゃんだね」

ライトは、まるで愛しい動物でも撫でるかのように少女の頬を撫でた。
対する少女も、心地よさそうに目を閉じる。

「だってライト達は、こんなに月が明るい夜は特に飢えてるんでしょ?」
「そうだよ。それを承知した上で、君が自分から血を差し出すんだもん。僕にとって良い事だらけだよ」

まるで、恋人同士のように穏やかに見つめ合う二人。
とても捕食者と餌という、食物連鎖の関係にある者同士には見えない。

「さて……」

少女の髪型は少し変わっている。首を剥き出しにするほど短く切られた後ろ髪とは違って、サイドの髪は胸まで長く伸ばされている。
ライトはその髪を耳に引っ掛け、首元のボタンを一つ、二つと外していく。

「……やっぱり、少し緊張する」

微笑んでいた少女の表情が、幾らか強ばった。
いつもの事で、本当に毎日の事だが……肌に牙が突き立てられる瞬間までが、少女にしてみれば不安の種だった。
以前は『予防接種に行って、腕を消毒された後から針を刺されるまでの緊張と同等』と言っていた。
無論、『この場合は予防接種と言うより、採血や献血と言うほうが的確』と自分で訂正していた。

「んふっ、そんなの今更じゃない? 十数年も僕達に血を吸われ続けておきながら、その緊張に慣れないだなんて」
「仕方ないでしょ、何時だって痛いのは怖いんだから」
「だろうねー。それに、君は痛いより……」
「んっ!」

不意に、腰に冷たい感触が走った。

「気持ち良いほうが良いんだもんねー?」

服の中に手を入れ、腰の肌を撫で回される。

「ちょ、何処触って……!」

場所が場所なだけに、動揺と焦りが隠せない。
拒絶のため押し飛ばそうとするが、ライトは片腕でも強い力で少女を捕らえ、微動だにしない。

「んー? 何処を触ってるかなんて、わざわざ僕に言わせるつもり? 自分で分かるでしょ?」
「そ、そういう意味じゃないっ……!」
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