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石榴(ざくろ)の月~愛され求められ奪われて~
第4章 四
「お民、今だけは俺のもの
だ。他の誰にも渡しはせぬ

 普段は静まり返った嘉門
の瞳に何ものかに憑かれた
ような光が潜んでいる。
 嘉門は熱を帯びた瞳で身をのけぞらせる女を見下ろし、女の奥へといっそう深く己れ自身を沈ませる。

 お民が意識を取り戻したのは、既に夕刻近い時分であった。嘉門と二人きりで湯殿に籠もっていたのは数時間にも及んだ。湯舟で何度も交わった後、更に花びらを敷いた褥の上でも烈しい情交を重ね、お民はついには気を失ってしまったらしい。
 ゆっくりと眼を開けたお民の枕辺に、胡座をかいて座る嘉門の姿があった。
「眼が覚めたか」
 嘉門は静かな声で言うと、傍らの盆を引き寄せた。
 盆の上には水差しと湯呑みが載っている。
 湯呑みに水差しから水を注ぎ、お民に差し出した。水差しも湯呑みもギヤマンでできているらしく、部屋の障子戸を通して差し込む蜜色の夕陽を受けて、透き通ったガラスが温かな色に染まり、きらめく。
 その美しさに思わず見惚れていると、嘉門が言った。
「呑め、喉が渇いているだろう」
 お民は頷いて、素直に嘉門の汲んだ水を呑んだ。
 ほのかな甘さを含んだ水が心地良く喉許をすべり落ちてゆく。
 お民の白い喉が動くのを眺めながら、嘉門が唐突に口を開いた。
「俺を好きになってみぬか」
 思いもかけぬ科白に、お民は息を呑む。
「そなたが俺を嫌うているのは知っている。だが、俺はそなたに惚れている。できることなら、手放したくない。そなたには、ずっと傍にいて欲しいのだ」
 お民は顔を上げ、しばし嘉門を見つめた後、小さく首を振った。
「―ごめんなさい。私にはできません。私には待っている男(ひと)がいるから。必ず帰るって、その男に約束したから、ここにはいられません」
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