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キャンドルが消える時
第1章 プロローグ
午後に謝罪のため会社を出るとして、午前中は営業回り。二件くらいなら回れるだろうか。届けなければならない医療書がある。本当は怒られずに、ほとんどの営業の人と一緒で、朝礼が終わったらすぐに会社を出るくらいがいいのだろうけれど。

地下に停めてある会社の車に乗り込み、目的地へと急いだ。

「いらっしゃい。お茶でもいかが?」

研究員のイメージとして、あまり身なりに気を使わないことが第一にあげられる。実際に私が見てきた研究員さんは、身なりなんて二の次で実績を追い求めているような人達ばかりだった。

「ありがとう、でも今日は少し急がなくちゃいけなくて」

真っ赤な口紅が塗られている腫ぼったい唇が弧を描いた。

「また怒られたの? 支店長も厭きないわね」

側にあった棚にもたれかかりながら、麗子さんは私が差し出す広告に目を落とす。手入れの施された長い睫毛が白い頬に影を作った。初めて会った時、化粧をしっかりしていて毛穴がひとつも見当たらないこの人を見て、本当に研究員だろうかと思ってしまったし、ここへ来た営業の人は必ず思うだろう。なんてことのない動作でも、麗子さんがすると全く違う。どの女性よりも美しく儚げで、どことなく官能的だ。先輩が「エロい美人は得するよな」と、私を見ながらため息を吐いたのを覚えている。

「良かったらもう一枚どう?」

見とれている自分に気がつき、慌ててもう一枚を差し出す。目を落としたまま、

「そうね、頂くわ。これからどちらへ?」

「ここから東の方にある理工学系の大学へ」

「あそこの大学の周辺に新しく喫茶店が出来ているらしいわ。今度行きましょう?」

顔をあげて微笑んだ美女に微笑み返しながら、友達はいないのだろうか、私は引き立て役なのだろうか、などと邪推してしまう。美しい笑顔に送られながら研究室のドアを閉め、ゆっくりと深呼吸をする。彼女は確かに美しいけれど、香水がキツい。





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