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キャンドルが消える時
第1章 プロローグ
出来れば怒らないで欲しいな、なんてありえないことを思いながらガラス張りのエレベーターに支店長と乗る。私のミスではないのになぜ怒られなければならないのだろう、と思うけれど後輩の責任は先輩の責任で、部下の責任は上司の責任なのだ。

ポーン、と呑気な音を立てて開いた扉。息を吸う私の隣で支店長も少し緊張しているらしかった。

「あんまり身構えるなよ」

自分への言葉なのか、私への言葉なのか判断がつかなかったけれど頷いた。



「はぁー……」

車の中に入るや否や二人してため息を吐く。先方はあまり怒っていなかった。怒っていなかったけれどチクチク心を刺すような言葉や、笑っていない目で攻撃された。

セクハラされるより疲れる。

「時間もあるし、コーヒーでも飲んで帰るか」

余程疲れたのだろう、シートを少し倒してため息を吐いた。支店長とお茶をするのもまた疲れることだけれど、上司がそう言っているならば仕方がないだろう。

「おすすめの喫茶店とかあります?」

「そうだなぁ……」

シートごと起き上がって、地下の駐車場を出ると道案内を始めた。言われるがままに進んでいくと見なれた風景に安心する。

「私の家、ここの近くなんですよ」

「じゃあ美味いコーヒーいつでも飲めるな。そこを右に曲がって、真っ直ぐ行ってまた右だ」

ただ、曲がったことのない角を曲がるせいか、知らない店が多くなってきた。言われた通りに右に曲がると、確かに古風な店構えの喫茶店が見つかった。コーヒー専門店のようで、カウンターを拭いているオジサンの背中に豆が並んでいた。

「こんにちは」

どうやら常連客になっているらしく、オジサンと親しげに話を始める。私はその隣で、出来るだけ話しかけられないようにメニューを見つめる。

「おすすめはカフェオレですよ」

支店長とは違う声がして顔を上げると、オジサンと目が合った。笑い皺が深く掘られている。

「じゃあ、私はカフェオレで」

オジサンのことをマスターと支店長が呼んでいるので、それに習って私もマスターと呼んだ。いかにもな呼び方にどぎまぎしたけれど、呼んでいる内に慣れるだろうことがわかった。


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