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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第27章 切なすぎる夜
「う、生まれた。生まれたぞ」
頼経の眼からはらはらと涙がこぼれ落ちた。夜明けが近いらしく、静寂が極まっている。その静謐さを破り、元気な赤児の泣き声が響き渡った。最初の子は産声を上げることなく逝った。頼経が父として初めて耳にした我が子の泣き声だ。
「よくやってくれた」
彼は生まれたての赤児を用意していた布でくるみ、瑶子に見せてやった。瑶子の顔は疲れ果てていたが、その顔には力強い生命の輝きがあった。