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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第27章 切なすぎる夜
「御所さま、お顔に血がついています」
 お産の介添えをしている最中に付いたのだろう。頼経は笑い飛ばした。
「歴代の中でも、妻の出産に立ち会い、なおかつ我が子を取り上げた将軍など、そうそうおらぬであろうよ、これはその栄誉の勲章だ」
 明かり取りの窓からひとすじの光が差し込んだ。長い夜が明けたのだ。黎明の光が今、瑶子とその傍らに眠る赤児の顔に指していた。
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