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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第36章 春雪
「一つ一つ夜を重ねて愛情を確かめ合った、その気持ちを花にたとえ、大切に思う心が二夜草。一夜草も情熱的な恋をなぞらえているようだし、どちらも素敵な名前です」
そこで、ふっと考え込む表情を見せた。
「ですが、頼嗣さま、一夜草という呼び名を持つ花は他にもたくさんあります。どの花も月見草や宵待草のように、夜、咲いて、朝には萎んでしまう花ばかりなのに、菫だけが違うというのも面白いですね」
千草はそこで言葉を切り、ふっと笑った。