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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第5章 源氏の一族
 時繁が小さな声で笑った。
「俺がお前に飽きる日が来るはずがないだろう。俺はもう楓なしで夜は過ごせない」
 楓の白い頬に朱が散った。
「もう! こんなときにご冗談は止めて下さい」
 頬を膨らませた楓に手を伸ばし、彼はいつものように人差し指でつついた。
「ならば、俺も共に参ろう」
「え―」
 楓は針を持つ手を止めた。
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