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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑
 唐突に、彼が身体の向きを変え、真正面から楓を見た。そして、彼の口から紡ぎ出されたのは。
「我は安徳」
 刹那、楓は何かの夢を見ているのだろうと思った。彼女の愛してやまない最愛の良人は今、何と言った? 楓が漸くその言葉の示す意味を認識した時、時繁は淋しげに微笑んでいた。
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