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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第10章 雨の朝(あした)
 このアザゆえに、母はいつも悩んでいた。父との間に儲けた二人の子は、家督を継ぐべき長男は生まれつき、眼が不自由だった。娘は生まれながらに背中に大きなアザがあり、嫁げぬ身体だった。
 二人ともに常ならぬ身体なのは、生みの母の罪であると、母は悩み抜きながら死んでいったのだ。そして、千種は母を苦しめた自分をずっと恨んできた。
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