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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿
「良き名だ。千種とは、恐らく、たくさんの花を意味するはず、様々な表情を見せてくれるそなたには、ふさわしい」
「たくさんの表情?」
「泣いたり笑ったり怒ったり、歓んだり、忙しい。だが、私はそなたの―千種のどの表情も凄く好きだ」
 好きなひとに率直に好きだと言われることが、こんなにも嬉しいなんて知らなかった。じんわりと温かな雫が眼に盛り上がり、もちろん、彼は大いに狼狽えた。
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