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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第3章 父と娘
 時繁はまた、ひっそりと笑う。楓の心がツキリと痛んだ。
「あんたって、鈍いのか聡いのか、よく判らん女だ。あんたの言うとおり、俺には昔、もう一つの名があった。だが、もう気が遠くなるくらい昔の話だよ。最初の名はもうこの海の底に棄てた」
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